社会人なら誰しも一度は「仕事を辞めたい」と思ったことはあるはずです。
仕事を辞めたい理由は人それぞれですが、仕事を辞めたくても辞められないという場合はどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、仕事を辞めたい理由・辞められない理由を解説しながら、円満かつスムーズに仕事を辞める方法をまとめました。
仕事を辞めたい理由とは?
2019年にベースメントアップス株式会社が266人の社会人を対象に行った「今の仕事を辞めたいと思いますか?」というアンケートによると、半数を超える社会人が「何度も辞めたいと思っている」や「たまに辞めたいと思う」と回答しているように、普段から仕事を辞めたいと思っている社会人が多いことが以下のアンケートからも窺えます。
【今の仕事を辞めたいと思いますか?】
- 何度も辞めたいと思っている:53%
- たまに辞めたいと思う:21%
- 辞めることが確定している:16%
- 辞めたいと思わない:10%
「何度も辞めたいと思っている」と、「たまに辞めたいと思う」を合わせると、実に74%の社会人が仕事を辞めたいと感じているというデータです。
厚生労働省の調査によると、大卒の新卒社員のうち3年目までの離職率は32.0%(内訳は1年目が11.4%・2年目が10.6%・3年目が10.0%)というデータもあります。
仕事を辞めたい理由は人それぞれですが、仕事を辞めたいと感じる主な理由を以下にまとめました。
【仕事を辞めたいと感じる理由】
- 収入が低い・福利厚生がない
- 職場の人間関係に悩みがある
- セクハラやパワハラがある
- 仕事内容に不満がある
- 仕事を頑張っても評価されない
- 休みがない・残業が多い
- 心身に不調をきたしている
仕事を辞めたい理由で多いのが「収入が低い・福利厚生がない」といった給与面の問題です。
残業手当やボーナス、交通費が出ないなど、仕事内容に見合った給料がもらえないため収入を増やしたいと転職を考えるケースは多いでしょう。
また、人間関係に悩みがあったり、労働時間が長く仕事がきついため辞めたいというケースや、最近では新型コロナウイルスの影響で接客業などの方が身の危険を感じ、仕事を辞めたいという声も聞かれます。
しかし、先ほどのアンケートで実際に「辞めることが確定している」と答えたのはわずか16%で、仕事を辞めたいと思っても今すぐには辞められない理由もあるのです。
仕事を辞められない理由
では、なぜ仕事を辞めたいと思っていても辞められないのでしょうか。仕事を辞められない理由をまとめてみました。
【仕事を辞められない理由】
- 仕事を辞めると収入が途絶えてしまう
- 退職を切り出せない
- 会社(上司)から引き留められる
- 仕事の引継ぎが大変だから
- 転職先・再就職先が見つかるか不安
- 仕事を辞めたいけどコロナの影響で辞められない
仕事を辞めたいと思っても、収入が途絶えてしまう不安から辞められないというケースは多いでしょう。
十分に貯蓄があり、働かなくても生活できるのであれば問題ありませんが、仕事を辞めると家賃や光熱費・税金など様々な支出が重くのしかかってきます。自己都合で退職した場合は失業保険を受け取れるのも3か月後となってしまい、その間は収入が途絶えてしまうため注意が必要です。
また、退職したくても切り出せないケースや、人手不足によって引き留められてしまうというケースもあります。
退職しても次の仕事が見つかるか分からないという点も、仕事を辞められない理由としてよくあるものです。
最近は第二新卒と呼ばれる若い離職者を積極的に採用している企業も増えていますが、年齢やキャリア、スキルによっては転職・再就職が難しい場合もあります。
しかし、うつ状態に陥るなど心身の健康を損なってまで辛い仕事を続ける必要はないので、仕事を辞めたいと思ったら行動に移した方が後々自分のためにもなるでしょう。
転職・再就職によって収入アップや環境の改善もできるので、無理に今の仕事を続ける必要はありませんが、人生において大きな決断となるので慎重さを忘れずに行動することが大切です。
仕事を辞める方法(仕事の辞め方)
ここでは、仕事を辞める方法(仕事の辞め方)について分かりやすくまとめました。まずは、退職するまでの流れを見ていきましょう。
- 求職期間・スケジュールを見積もる
- 上司に退職を伝える
- 退職日を決めて退職届を提出する
- 仕事の整理・引継ぎを行う
- 退職
それぞれ注意点を交えて解説していきます。
1.求職期間・スケジュールを見積もる
退職の意思が固まったら、まずは求職期間やスケジュールを見積もります。
働きながら転職先を探すのか、一旦仕事を辞めてから再就職するのかによってスケジュールの組み方や社会保障の手続きも異なるため注意してください。繁忙期がある仕事の場合、忙しい時期に退職すると迷惑をかけてしまうので、時期を考慮する必要があります。
転職する場合は転職活動には平均して3か月かかるとされているので、退職時期を決めたら逆算して転職活動を始め、再就職する場合は失業保険の申請をしたり、つなぎとなるアルバイトを探すなど収入を確保する方法を見つけておきましょう。
3月~4月と、9月~10月は求人が増える時期ですが、その分求職者も増えるため必ずしも有利になるとはいえません。何度も転職しているなど勤続年数が短いと企業が採用を渋ることがあるので、少なくとも2年間の勤続年数は欲しいところです。
資格取得で年収・内定率アップも
転職や再就職の際は資格やスキルがあると年収・内定率アップに繋がるため、求職活動を始める前に次の仕事に活かせる資格を取るのもおすすめです。
多くの国家資格のように、年に一度しか受験の機会がない資格もあるので、スケジュールを組む際には注意してください。
複数の資格を取る時は、同じジャンルの資格を取って知識を増やす以外にも、関連のある資格を取ったり、違ったジャンルの資格を取って幅を広げるという方法もあります。
2.上司に退職を伝える
スケジュールを決めたら、職場の上司に退職を伝えます。法律的には退職の2週間前までに伝えなければいけないというルールがありますが、仕事の引き継ぎもあるので退職の1~3か月前に伝えるのが一般的です。
有期雇用と呼ばれる期間を定めた雇用契約の場合は、原則として契約日まで退職できないので注意しましょう。
退職を拒否されたとしても、会社は引き留めたり損害賠償を請求することはできないので安心してください。退職を伝える時は口頭で直属の上司に伝え、退職理由を聞かれた時にきちんと個人的な理由として答えられるように準備しておきます。
たとえ退職理由がネガティブなものであっても、ポジティブに言い換えて伝えるのがコツです。
退職の伝え方が分からない、言い出しにくいというケースも多いですが、最近では「退職代行サービス」といって、退職の連絡を代行してくれる有料のサービスもあるので、どうしても退職を伝えられないのであれば利用を検討してみるのも良いでしょう。
転職先を先に決めてしまうのもひとつの方法
退職を伝えると引き留められる可能性が高いという場合は、転職先を先に決めてしまうのもひとつの方法です。
転職先がすでに決まっていれば、退職してから次の職場で働き出すまでのブランクも開かず、退職を引き留められる心配もありません。
また、期間を決めずに転職活動を行うよりも退職を先延ばしにせず済むというメリットもあります。
しかし、競合他社に転職するなど転職先が決まっていても明かさない方が無難なこともあるので、ケースバイケースで対処してください。
3.退職日を決めて退職届を提出する
退職の意思は口頭で伝えるだけでも問題はありませんが、規則や慣習に応じて必要とされた場合は退職届の提出を行います。
退職届は手書き・印刷のどちらでも大丈夫ですが、退職願・退職届・辞表の違いを理解し、社長を宛名として正しく提出しましょう。
退職届の書き方
- 退職願:自己都合で退職する場合(退職の打診)
- 退職届:退職が認められた場合に提出する(退職を伝えた後)
- 辞表:役職がある方や公務員の方が提出する
もし、会社規定の退職届の書面があればそれを利用します。いずれも改ざんや修正ができないよう、消せないペンなどで退職理由・退職日・日付を記入しましょう。
書き終えたら署名と捺印も忘れずに行ってください。退職届の提出も退職日の約1か月前、最低でも2週間前までには直属の上司に直接手渡しましょう。
税金や年金・保険の手続きに注意
会社を退職する場合、年金や健康保険の手続きが必要です。
転職先が決まっている方は入社後に必要書類を総務に提出すればOKですが、2週間以上離職期間がある方は地方税の納付や国民年金・健康保険への加入、失業保険の申請(受給手続き)など、手続きが増えるため予め確認しておきましょう。
受給資格を満たしていれば、パートやアルバイト、派遣でも失業保険はもらえます。
4.仕事の整理・引継ぎを行う
退職日から逆算して引継ぎを完了できるよう、誰が後任となっても仕事を引き継げるように具体的な内容の資料を作成するなど、仕事の整理・引継ぎを行います。
退職日まで1か月ほどしか時間がない場合、引継ぎが終わらず職場に迷惑をかけてしまうケースもあるので、退職のスケジュールは余裕をもって組むのがおすすめです。
担当している業務がある場合は完了させるか、区切りとなる部分まで行ってから引き継ぐようにしましょう。
取引先の名刺は持ち帰らずに引き継ぐ
取引先からもらった名刺は秘密情報にあたるため、持ち帰らずに上司に返して引き継いでください。
同様に、誤って情報を持ち出してしまわないように備品を整理する際にも気を付けましょう。
取引先に挨拶状を送りたいなど、理由がある場合に限り必要な部分だけを控えるぐらいに留めておくのが無難です。
5.退職
退職日になったら、デスクやロッカーを片付けて社内・社外に退職の挨拶を行います。
様々な手続きがあるので、退職当日は早めに出勤しましょう。会社から貸与されたものや制服・社員証など、返し忘れた物がないかチェックも忘れないようにしてください。また、転職先に提出する雇用保険被保険者証など、持って帰る物も忘れないようにしましょう。
退職の挨拶はメールでもOK
退職の挨拶はメールでも大丈夫です。
社内であれば直接口頭で伝えることができますが、会えない場合はメールでも問題はありません。
ただし、相手によってはメールでの挨拶は失礼だと思われる恐れもあるため、目上の人には挨拶状を送った方がベターでしょう。
転職エージェントを利用するとスムーズ
働きながら転職活動を行う場合も、一旦退職してから再就職する場合も、転職エージェントを利用するとスムーズです。
転職エージェントとは、求職者と面談をして条件に合った企業とのマッチングを行い、自分に合った企業の求人を紹介してくれる転職支援サービスで、知識が豊富な転職活動のプロに相談することができます。
転職エージェントによって得意分野に違いがあり、第二新卒の求人数が多いエージェントや、特化型エージェントと呼ばれる特定の業種に特化したエージェントもあるので、自分に合った転職エージェントを見つけてサポートを受けると良いでしょう。
転職エージェントでは、主に以下のようなサービスを利用することができます。
【転職エージェントで利用できるサービス】
- 面談(カウンセリング)
- 求人紹介
- 履歴書など応募書類の添削
- 面接対策
- 面接スケジュールの調整
- 条件交渉
働きながら転職活動を行う場合でも、エージェントが面接スケジュールの調整を行ってくれるため時間の有効利用が可能です。最近では電話やオンラインでの面談に対応しているエージェントも多いので、オフィスに足を運ぶ必要もありません。
また、自分からは切り出しにくい給与などの条件交渉も代行してくれるので年収アップにも繋がります。
転職が初めてという場合でも、応募書類の書き方をアドバイスしてもらえたり、企業の人事担当者の目線で実践的な面接の対策(練習)ができるため、きっと本番でも役に立つでしょう。
仕事を辞めたいけど、やりたい仕事が見つからないという場合でも、キャリアアドバイザーが一緒になって自分に合った仕事を探してくれるので大丈夫です。一部を除き、転職エージェントは無料で利用できるので、一度相談してみると良いでしょう。