履歴書に必ず必要になる「志望動機」。重要なのはなんとなくわかるけど、どのくらいの量をどういう構成で書いたらいいのかわからず、なかなか筆が進まない…という方が多いのではないでしょうか。
ここでは志望動機の基本的な書き方ルールから、採用担当者に好印象を持たれる構成、志望動機が書けない方への考え方まで徹底解説していきます。
履歴書における志望動機欄の基本ルール
履歴書の記入例と、基本ルールを解説していきます。
記載欄の7割以上は埋める
志望動機は必ず記載欄の7割以上を埋める事を目安に書きましょう。
文字数は300文字を目安に
記載欄のサイズは履歴書のフォーマットによって違いますが、おおむね300文字以内を目安にまとめるようにしましょう。
別用紙の場合はA4用紙1枚800文字以内
志望動機欄が小さくどうしても書ききれない時は、志望動機書を別書類として添えるという方法もあります。その場合は多くてもA4用紙1枚800字に収まるようまとめてください。長くなりすぎると採用担当者に読み流されてしまう可能性もあるので注意が必要です。
「御社」ではなく「貴社」と記載する
ここで間違いやすい表現が、志望先の会社を指す表現は「御社」ではなく「貴社」と記載することです。「御社」という表現は口語体ですので、基本的には文書には使用しません。
細かい部分ですが意識していきましょう。
志望動機の「型」をマスターしよう
次に志望動機の基本的な「型」をご紹介します。自分の志望動機に当てはめて考えてみましょう。
基本の型は「結論」→「理由」→「必然(なぜ貴社か)」
志望動機全体の構成は「結論」→「理由」→「必然(なぜ貴社か)」で組み立てると相手が読みやすく、魅力的に感じる文章になります。
「結論」は志望理由をズバリ言う
採用担当者が最初に読む部分は当然「書き出し」です。採用担当者は1日に多くの履歴書に目を通しているため、最初の文章で印象を残すことが重要です。採用担当者が重要視する「なぜ志望するのか」という問いに対する答えをはじめに書きましょう。
例文の「結論」を見てみよう
例文では自身が思う「経験を活かしたい」「グローバルに活躍したい」という二つを貴社が満たしたため応募したという「結論」を、簡潔に伝えています。
採用担当者がこの文を見たときに「ではこの人の持っている経験は何なのだろう?」「なぜグローバルに活躍したいと考えはじめたのだろう?」と疑問をもちます。この引っかかりが次の文章を読んでもらいやすくなる鍵となります。
「理由」は自身のオリジナルストーリーを書く
結論から伝え採用担当者の目をひいた後に、「なぜなら○○だから」と説得力のある文章を続けます。
ここでは、自分自身しか書けないオリジナルのストーリーを書いていきます。例えば、あなたが前職でどのような業務を担当しており、どのような結果を残していたか。その業務を行う中で、どのようなことを考えるようになったのか。それを踏まえ、最後の「必然」の部分に繋がるように書けるとなお良いでしょう。
例文の「理由」を見てみよう
例文では、「結論」部分で採用担当者が思うであろう「持っている経験は?」「なぜグローバル?」という問いに答えつつ、自身のストーリーを書いていきます。
ここでは経験を「医療機器の法人営業を4年」とし、「月3件以上の成約をキープしていた」という自身の成績を盛り込みました。
その上で「クライアントは関東地区の病院」と限定的なため、「より大きな市場(=世界規模)」で「多岐にわたる製品(医療機器以外の製品)」の営業に挑戦したいと考えるようになったと続けます。ここの部分が、次の「必然」に繋がります。
また、「(今の業務に)やりがいを感じる中で~~挑戦したいと考えるようになった」という文章を入れると、法人営業自体が嫌になり転職した訳ではないのだなという印象も与えることができます。
「必然」は貴社でなければいけない理由
最後は採用担当者に「だからあなたの会社でなければだめなんです!」という理由を延べ、熱い気持ちを伝える部分です。
ここが面接でも頻出質問である「なぜ私たちの会社でなくてはならないのか」の答えとなります。「必然」部分に説得力を持たせるためには、その企業の事業内容や業務内容、他社との違いについて事前に調べる事が重要となります。
例文の「必然」を見てみよう
ここでは、応募企業の「世界40カ国(=グローバル市場)に製品を提供している」部分をとりあげつつ、「医療機器、産業機器、光学製品」と多くの製品を販売していることに触れています。文字数が許すのであれば、「~~と知り、ぜひ挑戦したいと考えました。」「自身の転職ビジョンと合致していると考えました」などと書いてもよいでしょう。
その後、自身の経験をどう活かしていけるかに触れます。例文では「医療機器の知識と法人営業の知識を活かせる」「経験の幅を広げる」ことで、「事業成長に貢献する」という形で文章を締めくくりました。他にも「貴社の~~において必ず活かせると自負しています。」「貴社の業務でも活かせると考えております。」などの言い回しでもよいでしょう。
志望動機が思いつかないときは?
志望動機の「型」について説明してきましたが、中には「なんとなく興味がある会社だけど、特に志望動機と言われても思いつかない」という人もいるかと思います。
その原因パターン3つと、それぞれの志望動機を書くために必要な準備について解説していきます。
志望動機を考えることは「自分と志望企業のつながりを見つける」こと
志望動機とは、簡潔に言うと「自分の軸」と「企業の魅力」を伝えることなのです。
先程説明した例文では
「自分の軸=経験を活かす+グローバル」
「企業の魅力=グローバル+多くの製品を販売」
上記のようになっており、「経験を活かす→応募企業は医療機器を扱っている」「グローバル→40カ国が相手」という“共通点”を文章で伝えていたということになります。
このように、あなたが転職をする上で大切にしていることは何か、それを踏まえなぜその企業を選んだのか」を採用担当者に伝えるためのものが志望動機だと言えます。
書けない原因は「自己分析」「企業研究」「共通点探し」不足だ!
「志望動機が思いつかない」と悩む人は、大きく分けて以下の3つの原因に分類することが出来ます。
- 自己分析が不足していて、「自分が大切にしたい仕事選びの軸」が整理できていない
- 企業研究が不足していて、「企業の強み・魅力」が整理できていない
- 自己分析、企業分析ができていても、その「共通点」を探せていない
ここからは、それぞれの原因の対処法をお伝えしていきます。
1.自己分析不足の場合
転職活動を行う上で、必ず必要なのが「自己分析」です。
転職でいう「自己分析」とは、主に「自分の仕事選びの軸」を指し、自分がこれから仕事をする上で実現したいことは何かを明確にしておくことです。また、実現したいことが浮かばない場合は、自分ができることと考えても良いでしょう。
例えば、業務を行う上で楽しいと感じたことを「どのような時?」「どんな事が楽しい都感じた?」「なぜ楽しい?」「なぜ頑張ることが出来た?」などと掘り下げつつ書き出してみましょう。そうすると、あなたが大事にしている価値観が見えてきます。
自己分析をしっかり行うと、面接での深掘り質問にも対応することが可能です。例えば「なぜグローバルでなければならないのか」という問いに対して、自分の「国の垣根無く多くの人と関わることに喜びを感じる」という価値観がはっきりしていれば、その価値観ともとになるエピソードを語ることができるのです。
2.企業研究不足の場合
志望動機の「必然」部分を書く上でも、企業研究は欠かせません。
企業研究を深めるために、企業HPやパンフレットを積極的に読みましょう。ここでおすすめなのが、HPの採用ページや転職エージェントが掲載しているサイトの「先輩インタビュー」を観覧することです。そこでとりあげられている方が何を大切にしているか?何を魅力と感じて働いているのかという情報を得ることができ、自分に当てはめやすいです。
可能であれば、合同企業説明会や会社説明会に参加してみましょう。HPで事前に調べていき質問すると、HPに書かれていない企業の情報をゲットすることが出来ます。
3.共通点を見つけられない場合
自己分析と企業研究が十分出来たら、共通点を探していきます。
共通点が探せない場合、そもそも自分の価値観に企業がマッチしていない事もありますが、「共通点がありきたりで説得力がないのでは」と悩む方もいると思います。
そのときは、今一度企業研究に戻ってみましょう。そして、1社だけで「なぜこの企業でなければいけないのか」と考えるのではなく、同じ業界の競合企業をリストアップし、A社とは何が違う?B社では?…と比べながら考えてみて下さい。そうすると、企業の魅力がよりくっきりと浮き上がり、「だから私はこの企業に魅力を感じていたのか」と再確認することができます。
どうしても共通点が見つからない場合は、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。転職アドバイザーはより多くの企業情報を持っているため、企業の特徴や競合他社との違いを多く知っています。転職アドバイザーが思うその企業の魅力を聞くことで、あなたの軸との新たな共通点が見つかるかもしれません。
志望動機の書き方の「型」や考え方について解説しました。新卒と転職の志望動機は作り方に違いがあり、ここでは「転職でのパターン」で解説しております。
志望動機は履歴書の中で、業務経験と同じくらい重要なツールとなります。あなたしか語れない志望動機を書くために、ぜひ参考にしてくださいね!