面接で緊張しないための対策

面接で緊張する女性

キャリアコンサルタント 竹下
就職・転職活動において、あがり症で思うように答えられない、どんな質問をされるのか不安だとお悩みの方は多いかと思います。そこで、今回は面接の緊張をほぐすためにできることをご紹介します。

時間をかけて対策する方法から、面接直前に試したい方法まで、様々なアプローチ方法があります。ぜひ参考にしてみてください。

面接の緊張をほぐす魔法は「棚卸し」と「練習」

緊張してしまうという面接者の方に原因をお尋ねすると、「質問に答えられるか」という不安と「面接慣れしていない」ことがよくあげられます。この緊張は対策をしっかり行うことで解消できます。

面接までまだ時間があるという方は、ぜひ効果的な面接対策を行いましょう。

棚卸し:自分の「軸」の確認

まず必ず行って欲しいのが、あなた自身の「転職の軸」を再確認する作業です。キャリア理論では「キャリアアンカー」と呼ばれ、「人が職業選択を迫られたときに譲れない条件、価値、欲求」の事を意味しています。

要は「今回の転職でコレは譲れない!」ことは何か再確認しましょう。この軸を改めて明確にすることが面接対策に繋がります。

面接の回答に困ったら「軸」に戻れ!

なぜ軸の明確化が面接対策になるのでしょうか。実際にあった事例を元にご紹介します。

あがり症Aさんへの面接対策

私が面接対策をしたエンジニアのAさんはあがり症で、どれだけ練習をしても本番になると真っ白になってしまうというお悩みがある方でした。
その方の転職の軸を洗い出すお手伝いをしたところ、「作業者ではなく自ら考える設計の仕事をしたい」という譲れない部分が見えてきました。もちろん想定質問を含めた面接対策を何度もしましたが、「その軸だけは忘れないで!」とアドバイスを行いました。

Aさんの面接体験談

面接本番、志望理由を答えた際「今の会社でもできるのでは?」と突っ込んだ質問をされたとのこと。想定質問で対策をしていましたが、その場の空気に飲まれてしまい、いつものように頭が真っ白になったそうです。
ですが自分の軸だけは覚えていたようで、軸を思い出ししっかりと自分の言葉で説明できたとおっしゃっていました。

準備していた回答が真っ白になっても「軸」があれば答えられる

想定質問に丸暗記した文章で挑もうとすると、緊張で真っ白になってしまった際アピールができません。一方で、自分の「軸」はどれだけ緊張していても忘れないもの。
うまく文章がつながっていなくても、あなたの熱意は採用担当者に伝わりますし、話に一貫性が出るため担当者の評価も高くなる傾向にあります。

ぜひ自分の軸を棚卸ししてみましょう。

棚卸し:自分の「キャリアストーリー」を洗い出す

軸の洗い出しと同じように効果があるのが、自分の職業人生を振り返ってみることです。
特に、転職回数が多い方ほどこの作業はおすすめです。
自分自身の職業人生を以下のグラフのように書き出してみましょう。その時にできごとと合わせて「どう感じたのか」「どう考えたのか」を書き込んでいきます。

作業が終わったら、それぞれの出来事と自分の考えに共通点がないか考え、経験に意味づけを行いましょう。あなた自身のストーリーを改めて自覚することで、面接の質問対策になっていきます。

例:「一人よりもチームで協力」「ライフワークバランス」を重要視する方のグラフ


「一人よりもチームで協力」「ライフワークバランス」を重要視する方のグラフ

何気ないと思っていた意志決定に一貫性が見えてくる!

なぜ自身の経験を洗い出すことが面接対策になるのでしょうか。実際にあった事例を元にご紹介します。

転職回数が多いBさんへの面接対策

転職回数が多いBさんに初めて面接対策を行った際、「この時なぜ退職しようと思ったのか?」と尋ねると「うーん、若かったのでなんとなく…」との回答がありました。転職回数が多い方や、年配の方によくあるパターンだと言えます。

そのような方には、まず職務経歴書を元に今までの経験と当時考えたことを語ってもらうという作業を行います。語っているうちに、「そういえばこの時、○○という方針が嫌だったな。若げの至りなんですが自分は××ってやり方にこだわりたくて。それで退職しようと思い始めたんでした」と当時の気持ちを思い出すことができました。
さらに「次の職場でも同じようなことで悩んだな」という事に気付くことが出来ました。

なんとなく決めたと思っていた退職理由は、意志決定をする上で「譲れない軸」に繋がっていたのです。

Bさんの面接体験談

面接本番、若い頃の退職理由を聞かれた際にばっちりと回答ができたようです。さらに、その退職理由が、「仕事のこだわり」「やりがいを感じる出来事」と共通性があることもアピールできました。もちろん面接担当者の反応もよく、緊張しながらも手応えのある面接となったようです。

自分のキャリアストーリーを振り返ると一貫性が見えてくる

自分の軸を洗い出す際もご説明しましたが、職業選択の理由をしっかりと説明できれば、採用担当者は「一貫性のある人だ」「考え方がしっかりしている」「長く働いてくれるだろう」という評価する傾向にあります。
少し時間がかかる作業ですが、よりよい面接となるよう準備してみましょう。

練習:転職エージェントの面接対策を利用しよう

ご自身の棚卸しが終わったら、後は練習あるのみです。
面接対策を行う際は、ぜひ転職エージェントを利用することをお薦めします。

転職エージェントは無料で面接対策が受けられる

転職エージェントに登録すると、無料で面接対策を行ってもらえます。さらに、エージェントによっては過去の転職者が受けた質問や、応募先の企業が求めている人物像まで教えてくれるところもあります。
無料で受けられますので、ぜひ利用することをおすすめします。

実際に体験し感じた利点は「回答の具体性がぐんとアップした」こと

私自身も転職エージェントの面接対策を受けた一人です。
面接対策を受けて一番良かったのは、「退職理由・転職理由・志望動機が混同している」とアドバイスを受けたことです。

例えば、新築住宅営業の方が「もっと顧客の要望に応えられる職場に行きたい」という場合、退職理由は「サービスが固定化しておりもどかしい、顧客に寄り添えない」、転職理由は「顧客の要望に応えられる職場で働きたいから」、志望動機は「完全オーダーメイド制で、顧客の想いに寄り添う企業方針に共感したから」となります。

この3つを分け、より具体的に説明する事が大事だと改めて実感し、対策を行いました。結果、見事内定を勝ち取ることができました。
ぜひ皆さんもエージェントの面接対策を受けてみましょう!内定獲得率がぐんとあがりますよ。

直前の緊張は「思考」と「行動」で解決!

面接対策は十分しているのだけれど、どうも緊張して…と不安な方もいらっしゃるかと思います。適度な緊張は集中力を高めてくれますが、過度な緊張は能力が発揮できなくなり困ってしまいますよね。
そんな方には緊張をほぐす思考法が効果的です。心理学の理論に基づいた緊張緩和法をご紹介していきます。

緊張の原因となっている「思考の偏り」を自覚する

皆さんは「自動思考」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
自動思考とは、「ある出来事に対する考え方」のことです。例えば、「面接」という出来事に対して「緊張してきっとうまくいかない」という考え方=自動思考となります。
この自動思考がマイナスな場合「認知のゆがみ」と言い、ゆがみがあるとストレスや生きづらさに繋がってしまうのです。

まずは自分にどのような認知のゆがみがあるかを自覚してみましょう。

ゆがみの種類 概要
決めつけ 証拠がないのに正しいと思いこむ 面接は失敗するに違いない
「すべき」思考 必要以上に「しなくてはならない」と追い込んでしまう 質問には完璧に答えられなくてはならない
過度の一般化 一部分を全ての事例に当てはめる 会社のプレゼンで緊張するから面接ではもっと緊張するだろう
レッテル貼り ネガティブな自己イメージを作り上げている 自分はここぞというときに失敗するだめな奴だ
選択的抽象化 良いこと悪いことどちらも起きているのに悪いことばかりに注目する 面接対策ではOKと言われたけれど、1つダメだしされた。面接でもダメだしされたところでつまずき落ちてしまうだろう

それがわかったら、自分で反論してみる癖付けをします。難しい作業ですが、書き出すだけでも「自分はこんなことを考えていたのか」と理解でき、無駄な緊張が和らぐこともありますよ。

マイナス思考Cさんの緊張対策

20代Cさんとは面接対策を重ねましたが、「どうしても過度に緊張してしまうんです」というご相談を頂きました。話をよく聞いてみると「スキルがないので面接は受からない」という決めつけと、「学生時代のバイト面接ですら受からなかっただめな奴」というレッテル貼りをしていることがわかりました。

まずは「スキルがなくても内定を勝ち取った人はいる」という事実伝えつつ、「バイト面接に落ちたのはシフトが合わなかったから」という根拠を自身で確認してもらいました。

Cさんの面接体験談

「自分はマイナスに考える癖がある」ことを自覚し、普段よりもリラックスし面接に望めたようです。

直前は緊張している身体の部分を感じてゆるめよう

それでも面接直前に緊張してきた!という方は、まず緊張している部分を自分で感じてみましょう。これは「ボディースキャン」と呼ばれます。
そして緊張している部分をゆるめるようにしていきます。これは「行動心理学」に基づいており、行動を変えることで気持ちを変えるという方法です。

例えば、緊張して手をぎゅっと握っている場合、緊張しているから手を握っているのではなく、手を握っているから緊張していると考えるのです。
具体的には握っている手をぶらぶらとほぐしたり、手を上に向けバンザイをしたりしてみましょう。そんなことで効くのか?と思う方もいるかもしれませんが、効果はしっかりと証明されています。ぜひ試してみてくださいね。

まとめ

キャリアコンサルタントコメント

面接のような特殊な状況は、普段経験しないため緊張してしまいますよね。緊張してしまうのは当然のこと。緊張のなかでもいかに自己の思いを伝えられるかが重要です。
採用担当者からは、よく「彼(彼女)かなり緊張していて最初は心配だったけど、受け答えから強い意志が感じられたよ」とご連絡を頂きます。緊張していても、担当者に伝わるアピールができれば良いのです。そのために、質の高い面接対策を重ねましょう。
当日どうしても緊張してダメだ…とピンチの方は、「バンザイ運動」を思い出してくださいね!

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